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【リレートーク】はじまりは、ここから

fosとの出会いの物語は、ゆうみちゃんとの出会いから始まる。

 

行きつけの森の喫茶店のママから「あつまろうよ!風ん子の会」と書いてある紙を受け

取ったのは、長男が1歳を過ぎた頃だった。

親戚、友達もいない初めての土地、山梨県にやって来て2年ほどが経ち、町の母親学級など

で知り合ったママ達と時々遊んだり、子育てサークルなどに顔を出して、初めての子育て

をスタートさせていた。

「なんか、面白そうだなぁ…」と興味を持った私は、数日後、少し緊張しながら電話をし

た。「行ってみたいんですけど…」おそらくそんな事を口にした私に、「一緒に楽しくつ

くっていこうよ!」というようなニュアンスの明るい声が返ってきたのを記憶している。

それは、母親学級でも子育てサークルでも、

有難いと思いながらも感じていた受動的な感覚から、自分で創り出していくという能動的

な感覚へ切り替わる予感を感じさせてくれるものだった。

 

それからは、めまぐるしく生活が変わっていった。

富士山麓に点在する自然豊かなフィールドを見つけては、お弁当を持ち寄って、

ピクニックをした。湖で遊んだり、山に登ったり。山菜採りをした。

馬に乗りに行ったりもした。

マイさん達とのうたの会。

きみを愛してるの録音参加もあった。ジャム作りに、だんご作り、パン作り。

子供の手を引きながら、背中に子供を背負いながら…

母になった自分と、それ以前の人生を歩んできた私という自分ができる事を、したい事

を、その時の気持ちのままに、それぞれの母が持ち寄り、惜しみなく出し合って、楽しん

だ。今、こうして振り返ると、奇跡みたいな毎日だったんだなぁと思う。

そうやって集まっていた風ん子の会の道標の様な存在が、ゆうみちゃんであり、マサさんであり、fosだった。

子ども達の歌声をレコーディング

今は懐かしい入会の森。

水道、電気の無い、原始の森に近いアカマツの森は、私達をどっしりと

受け止め、思う存分に遊ばせてくれた。焚き火の炎をジッと見つめて、火遊びを真剣にす

る子供達。大人達は、子供達みんなの親になって見守る姿があった。

 

原風景としての風ん子やfosでの日々が、私に保育士になりたいという目標を

くれた。風ん子の仲間と共に過ごした日々が、私の中に眠っていた自分の種を見つける

きっかけをくれたのだ。

 

子供は未来そのもの。

子供達の持っている無限の力、キラキラした気持ち、どの子もその子だけの宝物を持って

いる。

恵まれた環境での子育てだった私にも、あの時の私、間違っていたなぁ…と

反省する事が多々ある。そんな自分の反省も含めて、自分のできる事で、子供達に伝えて

いきたい。

世の中は、機械化され、デジタル化が加速していくけれども、私達人間は、自然無くして

は生きられない。この自然の大きく言えば、宇宙の一部であり、その自然に生かされて

いる生き物なんだという事をしっかりと身体に染み込ませて生きていたい。

 

演劇を志していた頃、富良野塾の舞台に感銘を受けた私は、環境問題を含めた

自然と人間の関係についてかなり関心を持っていた。

そんな20代に、神戸の震災を経験した。

地元ではなかったから、10日間は被災者だったが、実家に避難することが出来た。

2ヶ月後くらいに、その頃あちこちに出来ていた支援のテント村でボランティア活動をし

ていた神戸の友人を訪ねた。

テントを張り、焚き火をして生活をして、救援活動をしていた。夜になると、誰かがギターを弾いて歌っていた。

何もかも無くなった様に思えた場所なのに、何故だか温もりを感じた。

テントの中で毛布1枚。足先が凍りそうな冷たい夜の中、人間ってなんだろうと考えていた。

水が無いと生きられない。

でも、電気が無くても、ガスが無くても、水と火があれば、自然の恵みさえあれば こうして生きられるのだ。

あの時感じた確かな感動。

人間の原点の感覚を得た感動。

その時と同じ感覚、感動を 私は、風ん子やfosに感じたのだと思う。

 

 

自然の中に居るとき、土に触れ、水に触れ、風に吹かれる時。

あっ、やっぱり私達は動物の仲間であって この自然は私達のかけがえのない場所だと

魂のレベルで感じる。

みんなで集まり、歌って、踊る。

人に与えられた喜びの瞬間がある。

悩みや悲しみも包み込み、溶かしていく。

そういった、かけがえのない感覚を 私なりに伝えていきたいと心から思う。

私が、風ん子やfosから教えてもらった様に。

 

私の中の希望の種は、もがきながらも芽を出す準備をしてきた。

保育士試験の結果を待っている今。リレートークのバトンが回ってきた。

私の原点となったものを 振り返ってみよう…と瞬間に感じた。

 

あの時、出会っていなかったら…今はない…のだけど。

きっと、どこかで出会えていた気がする。

fosで出会う人たちには、会った時に 何か分かり合える家族感がある。

人間、元を辿れば1つの家族。。。を 味わえる場所。

そこで、味わい手にした感覚を、普段の生活の中に落とし込んで生きていく。

毎年参加しているFOSクリスマス会

 

けれど、その原点を忘れないでいたいと思いながらも、その感覚が薄れ、

日々の生活で、視界が狭くなっている自分を感じる時、そんな時、

ゆうみちゃん、マサさん、風ん子、fosで出会った皆んなとの時間を思い出し

そっと、背筋を伸ばし、深呼吸をする。

 

自分の感覚を呼び覚ます場所。

まさにfeel our soul な場所。

 

…振り返っていたら、

マイさん達の唄…あの頃出会った唄の数々が 頭の中に響いてきた。

 

最後に、出会いから16年ほどの中で、劇的に変化を遂げたのは

ここ近年は私よりも格段に参加率の高い

ディジュリドゥとホーミーに魅せられた、時々fosスタッフゥーのこの方 ↓

免疫のない方は諸々の症状発症、はたまた癖になる方も。

FOSふじさんソリではいつも大活躍のけいちゃん

 

追記。

 夜中のラブレターの様に 一息に書いてから3週間。

その間に久しぶりにfosキャンプに参加し、初めての伊南に行ってきた。

 

地元の皆さんは、「なんもないとこだけど…」と枕詞をつけるけども、

昔から積み上げてきた智慧や文化、自然がいっぱいの場所だった。

自分達で満たす事が出来る力強い暮らし。

生きる力に溢れながらも おごらずに 優しい眼差しを持っている。

 

そんな伊南で過ごした3日間。いっぱいの思い出を ゆっくりと消化している。

 

ふと目にしたニュースを思い出した。

日本で一番高い値段の土地は、銀座のビルに囲まれていた。

日本で一番安い土地は、北海道の自然豊かな畑だった。畑で働いていた

インタビューを受けた男性は、焼けた肌に汗を光らせて笑っていた。

 

どちらが価値がありますか?

と、問われたら、値段が高い土地と答えるのだろうか。

 

何か違うのではないかと感じた。

人間が生きていくために必要なものが詰まっているのはどちらか。

答えは、明らかなはずだ。

 

東日本の震災から8年。

原発の事故で、私達は何を学んだのか。

世の中の価値観がひっくり返るはずの出来事だったのに、

あれから何が変わったのか。

子供達は、どちらを選ぶのだろう。

どちらの未来を選択するのだろう。

 

私に出来ること。

それはきっと。

子供達と自然の中に入ること。

一緒に感じること。

そこからはじまる何かがあるはずだから

今年参加したサマーイナの朝採り野菜ツアー(真ん中が筆者の美香さん)

*今回のリレートークのバトンを受けてくれた石川美香さんは、FOS夏の祭典「ふくしま南会津のSummerいな2019」に参加後、保育士の試験に晴れて合格!新たな道を一歩、歩き出しました。このメッセージは美香さんの未来をお祝いする記念の寄稿になりました。おめでとうございます!(リレートークお世話役 まゆ蔵より)

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