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【SPECIAL VOICE】アイスクライミングで感じる滝との対話(山藤賢さん)

突然ですが(笑)、山藤賢(さんどうまさる)と言います。
数年前よりFOSのファミリー企画などには参加させていただいておりましたが、
あらためて今回、プライベートガイドでのコースをお願いし、
その体験が素晴らしかったので、シェアさせていただけたらと思いました。

 

以前より、アイスクライミング(凍った滝を登る)というものがあることは、
まささん(戸高雅史さんFOS主宰)からも聞いていましたし、
FOSのホームページでもその写真も含めて存じておりました。
しかし、私は実は高所恐怖症で、観覧車にも乗れない人間なので、
これだけは一生やることのないイベントと決めつけておりました。
しかし、今年に入り、あるタイミングでまささんと対話しているときに、
このアイスクライミングの話になり、自然に私は

 

「やってみたい」

 

と話していました。どうしてかは今もわかりませんが、
その時の私には、なんか楽しそう、出来そうという勝手なイメージが湧いていました。
数年の間に自分の中で勝手に期が熟したのでしょうか。。。
そのあたりは不明です。タイミングもありましたが、
せっかくなので私自身が自分と向き合う時間にしたいと思い、
ちょっと贅沢ですが個人のガイドでお願いいたしました。

 

まささんから聞かれました。

 

「さんちゃん(私のFOS活動ネーム)、普通のクライミングはしたことありましたっけ?」
「いえ、ありません。。。」
「ボルダリングはしたことありますか?」
「いえ、ありません。。。」
「ピッケルは使ったことは。。。?」
「もちろんそれがなんだかも知りません。。。」
「えー、アイゼンは付けたことは。。。」
「もちろんありません。。。」
「冬山には。。。」
「スキーとFOSの富士山ソリと年越しの富士山二子山だけです!」

 

ということで、全くの素人である私に、
まささんは、丁寧に準備を教えてくださり、
ウェアー以外が全てレンタルとさせていただきました。

 

当日のことは…、個人の体験ですので、
その感覚はそれぞれの皆様に味わってもらってと思いますが、

 

まずは道中の雪の世界、

 

 

静寂の中に差す光、

足音と息遣いしか聞こえない森。。。

 

 

素晴らしい時間を経て、最初に滝を目の前にしたときの、その感動と畏怖の思い。

 

 

 

 

しかし、その垂直の壁にはりついた時に思った最初の思いは、

 

「こんなの登れるはずがない!(苦笑)」

 

でした。。。
最初は2mくらい登って、力の入った手足がプルプルとし、動けなくなり、

 

「まささん…降ります…」

 

と降りてしまいました。その後、少し時間をかけて横の動きを中心に、
氷との向き合い方、感覚、技術的なこと、教えていただいたうえでもう一度チャレンジ。
しかし、私の頭の中には今日は、少し登って体験だけして帰ろうと勝手に決めていました。

 

「だってできないでしょ、こんなの!(笑)怖いし!」

 

しかし、まささんに教わった通り、力ではなく、一つ一つの動きを大切にし、
ピッケルを打ち込み(時には跳ね返され、時には氷は砕け)、
アイゼンの先端を蹴り込み(これも時には跳ね返され、安定もせずにズレ)、
しかし、そんな行動の一つ一つに夢中になっているうちに、まささんから、

 

「さんちゃん、半分まできていますよ!」

 

との声。足を蹴り込むときに、その場所をよく見てと言われたのですが、
下を向くと高所恐怖症の私にとっては、本当に怖い光景でして。。。(笑)
ということで下をあまり見ないつもりでいたのですが、
実はこのころには、もうそんな高さに対する感情はなく、
この一瞬をどこに向けるのか、そんな思いになっていて、周りの風景も何もなく、
目の前の氷とただ向き合うだけ、優しくすっと入る一瞬もあれば、こばまれる一瞬もあり、
でも、うまくいった時には明らかにわかる感覚があるようになってきました。
しかし、3分の2くらい登ったところで、次の一歩が踏み出せずに悩む私に、

 

まささんが

 

「サポート(ロープ)あるので安心して力抜いてそのまま休んでいいですよ。」

 

との声掛け。。。

実は私はこの時、心が一瞬すでに折れていまして(笑)
もう降りようと思っていたのですが、
そのサポートによってまた復活、夢中になったその後はあまり記憶もありません。
結局20~30分くらいかけて登らせていただきました。

 

降りるのはどうするのかと思っていましたが、
完全にまささんのサポートにゆだねられて安心して降りられます。

 

降りてまささんとハイタッチ!!感激!!
その後は、美味しくカップラーメンをいただき、
少し言葉にしながら体感と感激のシェアをしました。

 

そして、午後には、もう一つの別の大滝へもチャレンジ、
その中腹までのアプローチをしました。
そこでは、動きとしてはあまり上達していない私は、また途中でとまりつつ、
時間はかかりましたが、目的のアプローチを達成することは出来ました。

 

この滝を前にして、

まささんは、

 

「午前もいいトライができたので、この滝はもちろん拝むだけでもいいのですが、
実際に体験し向き合おう事でしか、わからない部分もありますよ」

 

と、言ってくれました。

 

それはまさに滝との対話の時間となりました。天候も晴天の午前とは一転し、
午後は小雪振る中でのチャレンジとなり、
帰りはスノーシャワーを眺めながらの滝とのお別れとなったのもとても印象的でした。

 

終わって思ったことは多々ありますが、
ひとつは、この年にして(46歳になりますが)、日頃まったく運動もしていない私が、
このようなチャレンジをすることが出来るという事実です。

 

これは、それだけのサポートが必要になります。全くの素人を冬山に導き、
アイスクライミングに挑戦させ、心を満たして帰せる。。。
そんな技術とマインドを持った方は、おそらく世界中探しても、まささん一人だろうと思います。
著名な登山家や自分が出来るという人はたくさんいると思います。
しかし今回のような導きは、知識や技術のみではなく、
そのヒト自身を見ながら必要なアプローチをしていく感性がないと出来ないことだと思います。
優しいだけでは自然の摂理の中で、淘汰されてしまいます。
優しさの中での、包まれるような厳しさや、その場のホールド感、
そういうものなくしてこのようなことは出来ません。

 

また今回は個人ガイドでお願いしたので出来たことというのも、あるかと思います。
少し贅沢な体験にはなりますが、FOSの活動の中での個人ガイドも
僕は皆さまにはぜひおすすめしたいと思いました。

 

忙しい日常から離れ、頭で考えるのではなく、本当に感覚の中で、
滝や水のエネルギーと向き合い、そして身体で反応していく一瞬。
これはある意味、いま言葉ではブームのマインドフルネスを実際に体感している
究極の形の一つと私は感じましたし、そのような導きを出来る方と過ごす時間というのは、
お金などには代えがたい時間だとも正直思いました。

 

この日のエネルギー、感覚を体に持ちながら、また日常の時間に戻り、
仕事にもプライベートにも生かして、自分らしく在るための貴重な体感の一つとしていきたいと思いました。

 

やっぱり全力で生きるっていいな。思い切りもがきながら、でも進むっていいな。
知らないことを知る、出来ないことが出来るっていいな。なんだ、これ、子供の時の遊びと同じだな。

 

そうか、これは本物の、大人の遊びなんだな!

 

帰りの車中でそんなことを思いながら帰路につきました。
八ヶ岳の自然、滝のエネルギー、帰りに道端で突然お見送りに出てきた
5匹の野生のシカたち、そしてFOS、まささん、みんないてくれてありがとう(^^)

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